第7章 @ 黒尾鉄朗
「やばい…雨強すぎる…!」
駅に着いた後、被っていたジャケットが全く意味をなさないくらい、二人はずぶ濡れになっていた。
「…絢髪の毛搾れるんじゃね?」
『クロ頭ぺったんこ…』
「えっ嘘!?ショック…」
本気で落ち込む黒尾に、絢は鞄から小さなタオルを出して、背伸びをして黒尾の濡れた頬を拭く。
そんな絢の手を、大きくて冷たい黒尾の手が重なる。
「…お前から拭けよ。」
『ジャケットのお礼。大人しく拭かれてて。』
「…ハイハイ。」
黒尾は観念したといった表情で大人しく手を退けて絢の濡れた髪をくるくると指で弄び始めた。
「…Tシャツが透けててエロい。」
『ちょっ、見ないで馬鹿。』
「…温泉でも寄ってかねぇ?」
『!?』
駅の中で誰もが思っていたことだろう。
微笑ましいカップルがいるもんだなぁ、と。