第7章 @ 黒尾鉄朗
「やべぇ雨降ってやがる…」
午前中は晴れていた筈なのに、ショッピングモールに入ったら、夕方にはすっかり土砂降り。
二人とももちろん傘なんて持ってきていない。
「…帰り急ぎ?」
『別に急ぎではないんだけど…もう少し時間潰す?』
「だめだ…明日の朝まで降るって。」
『止まないんだ…』
絢は、黒尾といる時間が長くなればそれでよかったし、黒尾も割と同じようなことを思っていた。
でも、絢が普段履きなれないヒールを履いてきて靴擦れを起こしたために、早く帰ろうという話になっていた。
「…とりあえず、駅まで走るか?靴擦れどうだ?」
『バンドエイド貼ってるから少しは大丈夫…』
「痛かったらおぶるから言えよ?」
黒尾は笑って絢の頭を撫でる。
そんな優しいところにまた胸がきゅんとなった。