第5章 @ 赤葦京治
「もっとこっち来ないと、濡れるよ。」
そう言いながら赤葦は、少し雨で濡れた絢の肩を抱く。
触れられたところが少し熱くなった気がした。
「ほら言ってるそばから…風邪引いたらどうするの。」
『馬鹿は風邪ひかないから平気だよ。』
「自分で言っちゃうんだ…」
絢はニコニコしているが、ほんとは少しヤキモチを引きずっていた。
なんとなく、部活ばかりの赤葦に寂しさを覚えていた。
黙りっぱなしの状況に、赤葦が口を開いた。
「…今日あんまり喋んないね。機嫌悪い?」
『んー?そんなことないよ?』
「いつもならきゃっきゃしてるのに。」
『そうー?』
「…部活ばっかなの、嫌?」
…何故見透かされたのだろう。
赤葦は顔を覗き込んでくる。