第5章 @ 赤葦京治
「あっ、傘持ってる?」
『折りたたみならあるけど、忘れたの?珍しい。』
「いや、通り雨だったでしょ?マネの先輩がないって言ってたから貸したんだよね。」
そういう優しいところがあるものの、少しヤキモチを妬いてしまう。
そんなことを気に留めないようにしようと、絢は何事もないように振る舞う。
『じゃあ、相合い傘だね!わたし相合い傘初めてだなぁ…』
「女子ってそういうのに憧れる?」
『そりゃあ憧れるよ〜!』
「なら良かった。」
そう言って赤葦は、手渡した傘を差して絢に手を差し出す。
その手を握って、2人で手を繋いで雨の中を歩く。