第5章 @ 赤葦京治
「もしかして、先輩に傘貸したことで拗ねてる?」
『なんでわかるの…』
「アンタのことなら何でもわかるよ。」
そう言って赤葦は絢の頭を撫でた。
頰を膨らませて怒る絢の顔を見て赤葦が吹き出す。
『ひどい…』
「ごめんごめん。妬いてるの可愛くて。」
『全然嬉しくない。』
「怒らないでよ…ほら、こっち向いて。」
肩を掴まれて、赤葦の方を向かせられる。
改めて見つめ合うと、次第に顔が熱を帯びていくのがわかる。
「…俺が好きなのは絢だけって、知ってるでしょ?」
『…京治誰にでも優しいから心配なの。』
「これから気をつけるから。ごめんごめん。」
そう言って雨の音が響く中、一つの傘の下で唇が重なった。