第22章 涙の理由
二口は唇を離すとまどか の前で床に正座をした。
「……ごめん……まどか 俺を引っ叩いて……」
先ほどまで涙を流していた為か二口の目は赤くなっていた。
「…………そんな事……出来ないよ……」
まどか は起き上がり二口の言う事を断った。
「…………俺…まどか に酷い事したから………だから…叩いて……」
まどか は仕方なく二口の左頬をペチッと軽く平手打ちした。
軽く叩いた為か二口の左頬は赤くなってはいない。
「…………まどか 、それ本気で引っ叩いてないだろ。もっと強く叩けよ!……そうじゃないと俺の気が済まない!」
二口はそう言って歯を食いしばった。
二口に怒鳴られたまどか は意を決したのか一度深呼吸をして力強く二口の左頬を平手打ちした。
¨パシーン¨
甲高い音が鳴り響く。
「ごめん……二口……」
二口の左頬は赤くなっており、平手打ちをしたまどか の右手もジンジンと暫く痺れていた。
「やれば出来るじゃん………俺が叩かせたんだから謝る事ねぇよ………」
「で、でも……腫れちゃう……」
「大丈夫だって。……俺……まどか の気持ち知れて嬉しかった……」
二口は立ち上がりまどか の頭を撫でて
そのまま帰ってしまった。
なんでキスしたの?
なんで思わせ振りな態度をとるの?
なんで気持ち応えられないのに嬉しかったなんて言うの?
なんで?………なんで二口は泣いていたの?
泣きたいのは私のほうなのに……。
まどか はソファーに倒れ込み泣き崩れていた。