第17章 二口の過去と出逢い
2年になり俺はまた彼女に会えないかとお昼休みになると購買部でお昼を買うついでに捜していた。
勿論教室を一つ一つ捜して回るほうがすぐに見付かったのかもしれない。
でも俺はまたここで会えるかもしれないと思っていたからそこまではしなかった。
2年になって1ヶ月程経とうとしていた時に自動販売機でジュースを買う彼女を見付けたんだ。
偶然にも初めて会った日と同じ金曜日だった。
俺はすぐに彼女に近付いて声を掛けた。
振り向いた彼女は俺の顔を見て不思議そうな顔をしていた。
そこで俺は気付いてしまった。
彼女は俺の事を覚えていないんだと。
俺はそんな彼女に咄嗟に嘘をついてしまった。
今度は俺の事を覚えていて貰えるような嘘を……。
"ごめん。お願いがあるんだ、お昼買いたいんだけど財布忘れちゃって…。お金貸してくれないかな?"
彼女からしてみれば初対面の俺にお金なんて貸してくれるとは普通は思わない。
一か八かの賭けだった。
彼女は最初はきょとんとした顔で俺を見ていたがすぐに"良いですよ!"とニッコリ笑って千円札を1枚貸してくれた。
俺はまたこれで会えるきっかけが出来たと喜んだ。
"ありがとう!必ず返すから"
俺はそれだけ言って教室へ戻った。
後から考えてみればあの時は名前も教えずに俺は去ってしまってたんだ。