第1章 BLUERAIN
「ありがとう大輝。私も大輝のこと好きだよ」
不器用で真っ直ぐな恋人。どうしようもないほど彼に夢中なのに気づいて苦笑する。
「何笑ってんだよ」
「フフッ、大輝には敵わないなぁと思って。好きになった方が負けって本当だね」
「っ‼︎」
彼の表情が曇る。機嫌を損ねてしまったようだ。子供扱いされたとでも思ったのだろうか。下を向いて何やらつぶやいている。
「…そんなのオレはずっと負けっぱなしだっつの」
微かに聞こえてきたセリフ。よく見ると彼の顔が赤い。なんだ、照れていたのか。それならば。
「え?何?なんて言ったの⁉︎」
「っ‼︎なんでもねーよバーカ」
耳まで赤くする彼のことが愛しくてたまらない。ひとしきりイジって、本格的に機嫌が悪くなる前に大事なことを伝えた。
「今からさつきちゃんに謝りに行ってきなよ。きっと心配してるはずだし、こういうことは早く謝らないとどんどん拗れていくだけだよ」
ムッとした表情が真剣なものに変わる。