第1章 BLUERAIN
黙ってしまった彼に向けて私は口を開く。
「大輝が話したくないことは聞かないよ。それに大方の予想はつくからヤキモチ妬きたくないし、ね」
驚いた顔で声も無く私を見つめる彼。私はできる限り優しい笑顔で続ける。
「大輝があそこまでヘコむってことはバスケ絡みでさつきちゃんと何かあったんでしょう?サッサと謝って仲直りしてきなよ」
「なんで…わかるんだよ」
「伊達に大輝より長く生きてるワケじゃありません。それに大輝はすぐ顔に出るからわかりやすいのよ」
バツの悪そうな顔で下を向き、何かを考えている彼。しばらく考え込んでいたが、やがて意を決したかのような表情で私を見た。
「なつめ、オレはお前が好きだ」
「どうしたのいきなり?」
唐突に告げられた愛の言葉に呆気に取られていると、彼は真剣な面持ちで続けた。
「オレはまだガキだから惚れてもいねぇ女なんて抱けねぇ」
ああ、そうか。彼なりに私のことを思って言ってくれているのだろう。私のことも大切なのだと。