第1章 BLUERAIN
午前11時。おかわりのハムエッグを焼きながらカフェオレを入れる。焼き加減にうるさい彼はサラダを食べながらテレビを見ていた。
「はい、どうぞ。おかわりの分」
「サンキュ」
体育会系高校生の食欲は恐ろしいもので、これで3度目のおかわりだ。いつもより多めに作ったはずなのに、私の予想をはるかに超える勢いで目の前の食べ物が彼の胃の中へと消えていく。こっちは見ているだけで満腹だ。
「大輝…そんなに慌てなくても誰も取らないからもっとゆっくり食べなよ」
「腹減ってんだよ。昨日晩飯食ってねーから」
「え?」
しまった、という顔を彼がした。私はそれに気づかないフリをしてわざと呆れた声を出した。
「ちょっと、ダイエットとかやめてよね」
「バーカ、んなもんしねーよ」
少しホッとした顔になったが、またすぐに真剣な目をしてつぶやくように言った。
「なつめは何も聞かねーのな」
「…聞いてほしいの?」
「いや……」