第1章 BLUERAIN
気がつくと朝7時だった。どうやらうとうとしていたらしい。少し気だるい身体を引きずって、隣で眠る彼を起こさないようにベッドから出ようとした。不意に腕を引かれてバランスを崩す。倒れ込む身体を受け止めて、彼は私を再び腕の中へと閉じ込める。
「行くなよ。ここにいろ」
「起きてたの?大輝」
彼は何も答えず、代わりに触れるだけのキスを落とした。この調子では多分寝てないのだろう。少し目が赤い。
私は彼の首に腕を回してポンポンと頭を撫でる。昨夜の私では彼を癒しきれてはいなかったらしい。彼の傷口はまだ開いたままだ。もう一度頭を撫でると、そのまま胸元に抱き寄せた。子供を寝かしつけるように一定のリズムでポンポンと頭を撫でる。しばらく続けていると、彼から規則正しい寝息が聞こえてきた。窓からは雨音が聞こえる。二つの音に誘われて、私も再び眠りについた。