第2章 別れと出会い
ただがむしゃらに走り続けた。
敵国の兵やトリオン兵が迫ろうとも、私のトリガー〈雨の鎖〉(クローステール)で蹴散らしていく。
戦いになっても、この足が止まる事はない。
私は捕まるわけにはいかない。倒されるわけにもいかない。
私の掌に乗った光の鞭は、何度も暴れた。
私の今の感情をそのまま反映しているように。
「こっちは散々戦わされて、要らない技量だけ上達してるの。お前達みたいなその他大勢のなり損ないの兵を一撃で仕留めるなんて造作もない事なんだから!」
感情のままに叫び散らして、大声を上げたその時。
「何故お前がここにいる。」
背後から聞こえた声。
感情が高ぶっているこの時に、はっきり聞こえた声に、私は動きを止められた。
そこに立っていたのはとても強そうな。でも、近界民とはまた違った雰囲気を放つ誰かが立っていた。
初対面であるはずなのに、その声色は驚愕の色をしていた。
その人との出会いが、今後の私に今までと全く正反対の目的を与えた。
もう一度近界へ______________