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ワールドトリガー 瞳に光を

第2章 別れと出会い


未知のトリオン兵に動揺し、怯えていたのは私だけではない。
ここにいる全員が身震いし、日の光に晒されることを拒んでいた。

…と、思っていた。

しかし4人はすぐに顔を上げた。覚悟を決めたように。

4人で向き合い、笑っていた。
いつものように。楽しげに。そしてそのまま私を見て、柔らかな笑みを見せていた。

その笑顔の意味が、私はわかっていなかった。

表に出る決心がついたのだと、それだけを思っていた。

けれどその予想は不十分だった。

皆が向った先。それはトリオン兵。

「どうして⁉︎どうして戦うの⁉︎逃げなきゃ‼︎」

違う。トリオン兵を倒す事が目的じゃない。
私達は帰るだけ。なのにどうして挑む必要がある?

そんな私の問いかけに対して返ってきた答え。

「うるせえな。さっさと失せろよ。」

信じられない言葉だった。

「ずっと、き…嫌い…だったんだから…!」

「ようやく離れら…れて、せ、清々するよ。」

私に向けられた罵倒の言葉。辿々しい暴言。
その本当の意味を私も理解したんだと思う。でもそんな事、誰が聞くと思うの?

私は、

「嫌だ。私も戦う。」

みんなで帰りたい。

挑んでしまった以上、トリオン兵は私達を逃しはしないだろう。

だったら戦ってやる。

そう思ったけど。

「先輩だからって偉そうだしさ…。」

「心配性過ぎてうざいお姉ちゃんだったし。」

皆の言葉が私の足を固めて前に出る事を許してはくれない。

「でも私は皆と違って強化されて

「いいからさっさと行けよ!美梨!」

ズルイと思った。先輩とか、お姉ちゃんとか。締めにしっかり名前呼んでくれちゃって。

他の誰でもない。私に向けられ放たれた言葉だった。

その声を聞き入れた私は、皆に背を向けて走った。
泣きながら、地面にボタボタ涙を零して、湿気った地面を踏みしめていった。
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