第7章 異例の弾丸
「おっと、」
歌川がトリオン漏出過多でベイルアウトしたその時、
迅へ向けて、狙撃が雨あられと飛んでくる。
三輪隊の2名だ。
風間と太刀川はこの隙にガレージから撤退する。
先程の入り乱れた戦闘とは真逆。
夜本来の静寂を含み、同時に孤立した様な錯覚すら覚える。
あの一瞬、形勢は逆転し、迅と絵梨は圧倒的優位に立つ。
「初日なのに、色々ありすぎよ。疲れた。いい加減休みたいのに」
絵梨は息を吐いた。しかしため息ではない。気持ちを切り替えるときのそれだ。
バッグワームを起動する事なく屋根から降りる。
その瞬間
絵梨の右脚は消し飛んだ。
後ろを振り返ると、そこには勝機を忘れぬ小さな彼が。
「風間さん」
絵梨もまた、ライトニングを構え、応戦の意思を見せる。
隠密トリガーによる奇襲
その素早さに抵抗する暇すらなく、脚を奪われたというのに、絵梨は驚きも動揺も見せなかった。
「来ると思ってた。」
ただ目の前の彼に意思を表す。
「お前がいくら機動型狙撃手とはいえ、本職の攻撃手に1対1で敵うとは思っていないだろう。
お前の実力を見誤っていた、俺の落ち度だ。お前を始末して、迅を倒し、ブラックトリガーを奪取する」
「その傷でそこまで出来るとは思わないけど、いいよ。付き合ってあげる。どうせ風間さんが迅と私どっちを抑えようとしても結果は変わらない。
負けて、大人しく帰って。」
互いの得物が月明かりを受けて輝く。
目的を果たすため、目の前の敵を
討て