第7章 異例の弾丸
ついに勃発した戦いは2カ所で大きく揺れ動く。
互いの思惑が交差する夜中の内乱は大きなうねりを見せながら広がっていた。
「風刃は温存か?随分と余裕なんだな、迅。」
「さあ、どうだろうね。少なくとも俺たちの負けは無いから。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。」
真っ先に向かってくる太刀川の勢いを受け止めて、迅はほくそ笑んで言う。
その手に大事に握られた黒トリガーを慎重ながらも丁寧に、そして大胆に。
太刀川もまた磨き上げられた戦闘テクニックで黒トリガーに挑む。
どちらの瞳にも敗北の光景など写ってはいない。
互いに掲げる目的を達せられる事を確信している。
勿論この2人に限らず、だ。
太刀川率いるA級合同チームの面々は2人の周りを囲む様に陣取り、一時も止まない太刀筋と銃声が、迅を確実に追い詰めている。
はずなのに。
やはり迅は余裕を持って戦っている。どんな意図があればこの状況下で余裕を持てるのか。
戦闘時の真面目な表情に隠れた暗躍の顔。
その視線が差すものは
勝利以外、有り得ない。
◆◇◆
「______風間さん。」
「三上、どうした。」
「絵梨さんがレーダーから消えています。」