• テキストサイズ

ワールドトリガー 瞳に光を

第6章 繋がる事はない


「絵梨さんは…自由に動いてください。」

その迅の指示には驚いた。

勿論理由はあった。

絵梨は近界で迅達ボーダーの人間が経験した事のない規模の戦闘を数多く経験している。
記憶が無くとも、その感覚は体に染みついている。だから敢えて自由な駒として浮かせ、臨機応変に対応させるというのが迅の思考だった。

「それ、作戦も何もないじゃない。本当にいいんですか?」

「ああ。絵梨さんは片付けやすい敵から狙えばいい。」

「…わかった。ただ、援護が欲しければ遠慮無く言って欲しい。」

「勿論そのつもりですよ。忙しそうでも使いますから。」

出会った時と同じ、少しだけ冗談交じりで楽しそうな迅の顔を前に、戦闘中にも関わらず拍子抜けしてしまう。
いや、戦闘中だからこそ、余裕を持って戦えるというのは、いい事なのかもしれない。

「そろそろ来るか。嵐山!そっちは頼んだ!」

「ああ。お前もな迅!」

そして長い夜が始まる。
射撃戦の音が、交差する剣の音が、暗躍する足音が聞こえる。
/ 74ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp