第6章 繋がる事はない
「そういえば遠山さんが偵察していた国って人体実験を行ってたらしいですよ。もしかして絵梨さんもその被害に遭っていたりするんですかね?」
ただ一人烏丸だけはすぐにいつもの表情に戻って自身の見解を示していた。
「え?そうなの?でも絵梨さんのトリオンって平均ぐらいじゃなかった?それが急に計測出来ないぐらいに増えるなんて…
ガタン。
そんな音が小南の言葉を止めた。
「ど、どうしたの絵梨さん?」
驚いた様子で宇佐美がそう問いかける。絵梨はただポツリと「なんでもない」ギリギリ聞き取れる程度の小さな呟きだけを残すだけだった。
「ねえ鳥丸、あんたなんでそんな事知ってるのよ。」
「嘘ですから。」
「…は?嘘って…」
「俺はそんな話、聞いた事ないですから知りませんよ。」
ただの作り話だと言った。騙されていたと知った小南は脱力し、ゆらりと立ち上がった。その姿はさながら操り人形の様。
そうして三雲の後ろに立てば、ありったけの恥ずかしさが込み上がる。
「だましたな!?」
「騙したのは僕じゃありませんよ…」
そして三雲が暴れ出した小南の被害に遭った。
そんな微笑ましい光景に皆の視線からは外れていたが、心なしかホッとした様子を見せる絵梨がいた。