第6章 繋がる事はない
「絵梨さーん!ちょっといいですか?」
「何?」
この日の夜、絵梨はトリガーの選定を終え、広間で休んでいるところを宇佐美に呼ばれた。
「絵梨さんの登録データを更新しなきゃいけないってボスに言われてね。取り敢えず今からトリオンの測定をしてもらいたいの。」
その話の内容を理解した途端、絵梨の表情が一瞬にして曇ったのはわかった。測ってはいけない。本人の中ではそう思っているに違いない。
しかし隠したところで怪しまれる事に変わりはないのだ。
それを絵梨自身も理解していたからこそ、不本意ながらもゆっくり測定器を握った。
しばらくしてそこに映された文字に一同は驚く他なかった。
「エラー!?測定不能!?そんな事今まで一度もなかったのに…」
「だって千佳のトリオンでも問題なく計測出来たじゃない!って事は絵梨さんのトリオンどうなってるわけ?」
宇佐美、続いて小南も驚愕の様子。
一同が困惑する中、絵梨は一人だけ薄暗い表情で俯いた。