第5章 一方的な再会
水の流れる音と、寒さが彼女を包み込む。
目の前には全く知らない建物が聳え立つ。
いや、そもそも帰ったばかりなのだから、知らないのも無理はないと思うが、
「話は通してあるから、後は他の隊員に聞いて下さいね〜。そんじゃまた。」
ここへ連れてきた本人がそんな調子だったもので、ただでさえ掴めない状況が更にややこしく感じるのであった。
ただ、こちらの世界でのトリガーの事、絵梨という方の人物像など、気にしなければいけない事は山積みだった。それを思えば、迅が本部から連れ出した事もある程度は納得できるのかもしれない。
半信半疑ではあるものの、いや、半信半疑であるからこそ、かもしれない。
彼女…絵梨は真偽を確かめる為、その目の前のドアを開ける。