第4章 見えない誰か
まだ名前も知らない誰かに連れられ到着した異質な場。
そこにはトリガーを起動した状態の隊員が数名とそれ以外の人も同様に。
各々が放つ深刻な雰囲気はこの場の空気を凍らせる様に冷たく、素肌にピリリと刺激を与える様に鋭い。
「木戸司令。連れて来ました。」
その言葉を合図に聞こえてきたのは驚愕の声。
「ほ、本当に遠山君なのかね?」
その瞬間彼女は察した。
この人達もまた、誰かと見間違えているのだと。
そして、彼女に向けられる視線は妙に尖っており、警戒心が紛れ込んだ不穏な空気がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。