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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第8章 Sell my soul


 神羅はアバランチに悪役をやらせることで、事態を収束させようとしたのだ。
リーブは彼らを助けるためにケット・シーを使ってガス室に乗り込み、シャロンとヴィンセントは退路の確保へ。そしてメンバーは大混乱の中飛空艇ハイウィンドを手に入れ、取り残されたティファを救出しジュノンを後にした。

こんな状況だからか、それから先は皆感傷に浸りやすくなっていた。
クラウドとティファがミディールでライフストリームに飲み込まれてしまった時、誰もが絶望した。しかし、彼らを止めなかったことを間違いだとは思わなかった。
本人の思う通りにさせることが彼らにできる唯一のことだった。それは世界が終わるという最悪の未来を片隅に感じたある種あきらめにも似た選択だったが、後悔したくない、後悔させたくない、その思いは皆同じだった。

行き先に迷ったクラウド一行は、知識を求めてコスモキャニオンへ赴くことにした。
シャロンがコスモキャニオンを出てからそう間も空いていない。彼女は住人達に別れも感謝も告げず突然出て行った手前少し気まずい思いがしていた。
だが、それ以上に、再会できる喜びも大きかった。

「シャロン、何か嬉しそうな顔をしているな……?」
「あのね、私、旅に出る前にコスモキャニオンでお世話になっていたの」
「初耳だぞ……」
「ごめんなさい。そういえば、ヴィンセントと再会する前の事、詳しく話していなかったね」

というよりは、話すのが辛かった。コスモキャニオンにたどり着いた経緯も、出る事にした理由も。セフィロスの事を思うと苦しかった。
メテオが発動され、世界に混乱が訪れた今では尚の事、彼女は彼を止められなかった自分を心の内で責め続けている。シャロンが眉を顰める。
彼は彼女のこの表情を何度も見てきた。昔話をしようとする度、何かに苦しむ彼女の姿を。だからいつも無理に聞くことはせず、肩を抱いてやった。彼女が自然に話し出すのを待つために。
今もまた、辛そうな顔をしている。『無理をするな、一人で苦しまないでくれ』そう願いながら、ヴィンセントが腕を伸ばすと、彼女はそれよりも先に彼の胸に抱きつき、小さく声を出した。

「ヴィンセント、甲板で少し話そうか……」
「ああ……」
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