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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第8章 Sell my soul


 待機の間、シャロンとヴィンセントは共に行動した。
万が一宝条がシャロンに何かせぬとも限らないと警戒し側を離れないでいたのだ。
尤も、そんな理由などなくとも、二人はなんとなく一緒に居たのだろうが。
暇を持て余したシャロンは、神羅独特の金属に固められた窓枠に手をついて、周囲を警戒しながら唐突に考えていたことを口にした。

「ヴィンセント、私達の知ってる神羅って、ほんの一部分だけだったのかしら?」
「どうした、突然……」
「何事も、目に見えている部分がその全てとは限らないわ。あのルーファウスという若社長……こんな状況でも、諦めていないのだなって。皆が、世界が終わると絶望している中、ウェポンを止めようと戦っているのだもの」
「そうだな……」

窓の外を見れば、空に浮かぶメテオが目に入る。日に日に大きくなり、あまりにも目立つそれは人々の心をじわじわといたぶっていた。

「私達には一体何が出来るのかしら……」
「見当もつかないな……。だが、考えることを諦めなければ、いずれ道は拓けるさ……」
「うん、そうよね……。ヴィンセント、好きよ」
「と、唐突だな……」

ヴィンセントが動揺し、瞳を泳がせると、シャロンは切なそうに微笑んだ。

「うん。ここ最近、色々あったわよね……。想いは伝えられる時に、伝えなくちゃならないのだと、彼らから教わったわ」
「そうだな……。だが、その考えは君にしてはやや後ろ向きじゃないか……?」
「そうかな……。あら、波が変わった……」

シャロンが窓の外で異変を感じると、神羅のキャノンが放たれる。
ウェポンだ。神羅は世界を守るために戦っている。

「今はとにかく、守れるものを守らなくちゃね!」

シャロンは自分に言い聞かせるように力強く笑む。

「……なんだか、神羅と一緒と思うだけで複雑だったけれど、ルーファウスのように前を向いていてくれる人がいると救われるわ。たまたま宝条が狂人なだけで、神羅って実はいい会社なのかな?」
「それはどうだろうな……宝条こそ氷山の一角という見方も……」

誰かの足音が聞こえ、二人は会話をやめその方角を注目する。現れた男は着くやいなや言葉を発する。

「お二人共、こちらでしたか! 急いでください、ティファとバレットが!」

リーブの次の言葉で、ヴィンセントの仮説が正しいことが証明された。
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