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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第8章 Sell my soul


 竜巻が天に昇る迷宮は、星の傷跡。
宇宙から何かが降りかかってできたその傷は、星自身が修復する。
自然の強大な力を見せつけられたような気がして、彼らは暫し圧倒された。
足場の悪い道を進むと、黒い羽がひらひらと舞い、気付けばクラウドの前にセフィロスが怪しい笑みを浮かべ立っていた。
クラウドを惑わせ、狂気じみた笑い声を上げる彼をシャロンは恐ろしく思った。ふいにセフィロスの瞳がシャロンを貫く。

「お前は、シャロン……クックック。どうやらヴィンセント・ヴァレンタインとは再会できたようだな。目出度しか」
「セフィロス……もうこんなこと、やめよう」
「交渉は決裂した。もう、お前は必要ない」

セフィロスがシャロンに斬りかかる。
咄嗟にヴィンセントに手を引かれ身をかわすと、セフィロスは翼を羽ばたかせて姿を消した。
「幻覚だ」
クラウドはそう言う。
しかしそう言うクラウドも、この迷宮に立ち入ってから、精神に脆さを感じる。

黒マテリア、リユニオン、セフィロスコピー。
状況が進むにつれ、シャロンは新しい言葉の羅列に理解がおいつかなくなっていた。
なぜなら彼女を混乱させる要素は他にもあったからだ。
同じく迷宮に居合わせた神羅の若社長ルーファウス、スカーレット、宝条の存在だ。なんの因果か。こんな所で再び神羅と関わり合いになろうとは。

状況に圧倒され、誰もが手も足も出ないままついにメテオが発動される。
大地が大きく唸ると、クラウドは自我を失い瓦礫に飲まれた。
ここにいる全ての命が危うくなってくると、咄嗟に状況判断したルーファウスが避難を呼びかけた。
そしてメンバーはなす術もなく、クラウドを残して飛空艇に乗り込むこととなったのだった。

数日間、ミッドガルの拠点で過ごすことになる。
神羅と一緒というのがシャロンは内心不快ではあったが、そうする他なかった。ティファは意識を失い、メンバーも疲弊していた。
なにより、メテオが発動されてしまっては、もう誰にもどうすることも出来ない。

ただ、神羅の社長は諦めていないようだった。
大空洞で生まれたモンスター、ウェポンの暴動を鎮圧するために力を尽くしていた。
シャロンの神羅に対する評価が少しだけ変わりつつあった。
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