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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第8章 Sell my soul


 一行はセフィロスを追ってアイシクルロッジへたどり着いた。
ちらちらと舞う冷たい結晶。
シャロンは初めての雪に瞳を輝かせ感嘆した。

「シャロン……雪は初めてか?」
「うん……本では読んだことがあるけど、こんなにも美しいものだったのね」

ヴィンセントは彼女の嬉しそうな表情に少し安らぎを感じた。
しかし、そんなに呑気にはしていられない。
先陣を切っていたクラウドが村でタークスに捕まったというので急いで村の中を探し回る。
外の雪道を滑って遊ぶ住人に話を聞こうと尋ねると、遠くでティファの呼ぶ声がした。

「ヴィンセントー! シャロンー! こっちよ」

振り返ると、事はすでに収束していたらしく、クラウドのチームも集まりメンバー全員が揃う。

「遅かったな」
「ごめんなさい、雪は初めてで……」
「そうか。それじゃあ、雪山を滑った事もないな?」
「ええ……」

クラウドがヴィンセントとアイコンタクトを取る。無言の問いかけにヴィンセントは黙って頷いた。

「じゃあ、早速出発する。俺たちが先に出る。見失わないようにあとからついて来てくれ」

メンバー全員が頷くと、クラウドはスノーボードに乗って傾斜を滑り降りて行く。
メンバーが後を追い、シャロンが把握しきれない様子で不安げに見送ると、ヴィンセントが彼女の身体を抱き上げ、いつの間にやら手に入れていたボードに乗る。

「きゃっ!」
「フ……暴れるなよ、落ちたら大変なことになるぞ……」
「うん……ありがとう。しっかり掴まってるから、落とさないでね!」
「ああ……」

雪山を滑走する初めての感覚。凍えそうな程の冷たい風が頰を突き刺すが、ヴィンセントの胸にしがみ付いてシャロンはどこか楽しそうにしていた。

雪山を降りると、吹雪が一層強くなるが、クラウド達は息をつく暇もなく先へと進んでいった。
シャロンはクラウドについて行くのに精一杯で、彼の異変に対処することができないままに。
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