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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第7章 Blame


 一族の一人が藪の中を調べる。あるところで何かを見つけたように視線を止め、顔をあげる。

「致命傷だね」

彼女は捕獲者の脈を確認し、弾痕から弾を抜き取ると、ヴィンセントの側までそれを持ってくる。
ヴィンセントが自分の銃と弾丸を彼女に手渡す。それは捕獲者に命中した弾丸と一致していた。

「いい腕ね。だけど、私達は人殺しは嫌いです」
「おばさま! 彼は私を助けてくれたのよ!」
「わかっている。それについては感謝しているわ。だけど、もうシャロンには近づかないでおくれ」
「おばさま……」

 ヴィンセントの服の裾をきゅっと掴む。
彼は私を見下ろしてから、諦めたように息を吐き、頷いた。

「仕方がない。だが、あなた達に彼女を守り続けられるのか?」
「対処はしている。外部のお前には関係のない事。私達花の民に深入りしないでおくれ」

ヴィンセントは私の手をそっと離し、目配せをしてこの場を離れた。

「ひどいわ」
「あなたを守る為なんですよ」
「一族のためでしょう」
「あなたは姫なのよ」

 自覚を持てということだと思った。
だけど私はまだこの運命をただ受け入れるほど大人にはなれていなかったんだ。
ふと自分の手に視線を落とす。祭司達の持つ松明に照らされて初めて気付く。自分の掌に付いた赤色。
彼が怪我をしているということを悟り全身に緊張が走った。駆け出す私の腕を祭司が掴み引き止める。

「今日門番がやられていたわ。捕獲者の仲間がまだこの辺りをうろついているかもしれない」
「ならば尚のこと! 彼、怪我をしているの!」
「シャロン!」
「私のせいで……」

大人達の足元に荊を絡ませ足止めをする。

「ごめんなさい。だけど私、やっぱりこんなのは嫌!」

 祭司の腕を振り払い、ヴィンセントの向かった方角へ走る。
木々を掻き分けてひた走るが、彼の姿は見つからない。息を切らし、不安にかられてヴィンセントの名前を口にしようとした時、海へ続く道から野太い男の声が上がった。

「畜生! 兄の仇!」
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