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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第7章 Blame


 週に一度一族の祭司が様子を見に来る。
その時だけは、ヴィンセントに日が暮れてから来るように伝えて訪問時間をずらした。
旅人との交流が知れないようにうまく取り繕っていたけれど、もしかしたら一族の皆は、既に私の嘘に気付いていたのかもしれない。
辺りが暗くなり始めた頃、私の住む白樺造りの小屋に訪問者があった。

「こんばんは、ヴィンセント。中に入る?」
「そういうわけには……いかないだろう……」
「あら、どうして?」
「……異性として意識されていない……のか……」
「え?」

ぼそりと呟くヴィンセントの言葉を聞き返すと、彼はそっぽを向いて湖の方へ歩いて行ってしまった。
私はロウソクの火を消して彼の後を追う。先に行ってしまった彼に怒っているそぶりはなく、私が追いつくと振り返り少しだけ笑むと湖へ視線を移した。

「ここは美しいな」
「そうでしょう。花の民がいる限り、ここは楽園よ。だけどもうすぐ、この景色もなくなるわ……」
「ん? シャロン!」

 ヴィンセントが突然私を庇うようにして抱き寄せると、銃声が鳴り響いた。

「やっ、何? ヴィンセントっ——」
「すまないっ……」

 私の身体を地に押し倒し、ヴィンセントは懐から自らの銃を抜いて応戦した。彼に守られながら頭を抱えて地に伏せる。
彼は二発撃ったように思う。すると銃声は収まり、ヴィンセントが私の肩を抱く。

「……すまない、怖かっただろうな……」

震える肩を何度もさすって私を落ち着かせるように優しく声をかけた。

「捕獲者ね……。謝るのは私のほう。私と一緒にいたから、あなたを危険な目に合わせてしまった」
「いいんだ。君を守れて、よかった……」
「ヴィンセント、あなたは怪我はない?」

 月明かりでよく見えないが、彼の身体をそっと撫でて確認する。
そうしている最中、遠くから私を呼ぶ声が上がり、足音が近づいてくる。間も無く一族の皆が猟銃を持って私たちの周りを取り囲んだ。

「捕獲者め! シャロンを解放しなさい!」
「待って! 彼は旅人! 私を助けてくれたの!」
「離れなさい! そうやって油断させてあなたを売りに出す魂胆かもしれないでしょう」
「なんて事を! 彼がいなければ私はそこの藪に倒れている捕獲者に命を奪われていたというのに」
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