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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第6章 finale


 彼女はヴィンセントの姿に過去を思い返した。

「どうした? また……泣きそうな顔になって……」
「色々と、思い出してしまって」
「君を泣かせてばかりいるな……」

シャロンが首を横に振る。彼の優しさはいつも彼女の涙腺を刺激した。
彼は彼女の頭を胸に引き寄せそっと撫でてやった。

「今日はもう、休むか……」
「ん……」

シャロンは促されるままベッドに座るが、中々眠ろうとしなかった。

「……眠れないか?」
「ううん……夢みたいで。朝目覚めたら、あなたがいなくなってしまうんじゃないかって……」

その不安はこちらも同じだ、と彼は思った。それならとシャロンの手を握ってみせる。

「ではこうしていよう。シャロン……信じてくれ。もう君を一人にはしない」
「ヴィンセント……ありがとう。だけど、あなたは眠らなくていいの?」
「私はもう……充分眠ったからな」

 ヴィンセントのことは気になったが、ベッドに横になってみると今まで蓄積した疲れが一気に出てきてうとうとと瞼を閉じた。

 微睡みながらぼんやりと考えていたのは、セフィロスのことだった。彼女の運命は、ヴィンセントと共に行動する方向に傾いている。しかし、それならばセフィロスはどうなってしまうのか。孤独から逃れられないままの彼を、殺めなければならないのか。
セフィロスを救う方法がわからない。彼女にとっては星を守る事と、セフィロスを守る事、そのどちらも重要で、天秤にかけることなどできなかった。

 わかるのは、セフィロスの元へ行くのなら、今日ヴィンセントに付いてくるべきではなかったということ。それでも無理矢理セフィロスの元へ行くことは可能だ。しかしそれをすれば、ヴィンセントとは敵同士、本当に別れることになる。

今やセフィロスの意識は一人歩きしている。本人が動かなくても、恨みを晴らせる。早く決着を付けなければ、世界が闇に染まる——
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