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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第5章 forbidden lovers


「それより、あなたは何をしに来たの?」
「お前に真実を伝えに」

 セフィロスはシャロンに向き直り、指先で頬を撫でる。

「真実……」
「ヴィンセント・ヴァレンタインのことだ」

 シャロンの心臓が大きく脈打つ。ヴィンセントの名を聞いた瞬間、彼女の強がった表情は崩壊し、不安げに眉を下げる。
透明感のある頬が赤みを帯びるのがまた愛らしい。

「彼は……どこに?」
「神羅屋敷だ」
「神羅、屋敷……? そんなに近くに? 以前あちらにいた頃は周りには何もなかったわ」

動揺するシャロンをよそに、セフィロスは淡々と答える。

「地下に研究室があったのは知っての通りだ。お前はあれからあの屋敷に立ち入ったことがあったか?」
「ない……ないけど……研究室だなんて、そんな……! ルクレツィアは……」
「お前、何か勘違いしていないか?」
「え?」

 シャロンのころころ変わる表情を見ていると意地悪をしてやりたくなるが、セフィロスは早くシャロンに伝えたく、焦らす事はしなかった。

「ヴィンセント・ヴァレンタインは生きている」
「………え……」
「生きていながら、あえてお前を探しに来ないのさ」
「ヴィンセント……生きているの? 本当に?」

 シャロンの瞳が今まで以上に大きく開き、セフィロスを見上げる。
彼は彼女が悲しむと思っていたが、しかしシャロンは嬉しそうだった。愛する人が生きていた。その事実が彼女にとっては一番重要だったからだ。

「探しに行くのか」
「迷惑かしら」
「さあな。だが、会いに来ない時点でお前に対する思いは薄いのではないか?」
「いい。ヴィンセントの気持ちが私へ向いていなくても。あの人は私を自由にしてくれた。彼の役に立ちたいのよ。役に立てるなら何だっていい」
「やれやれ、私はお前を見くびっていたようだ」

 セフィロスはため息をついて手を差し出す。
シャロンはその意図がわからず首を傾げた。

「私と共に来い。神羅屋敷まで連れて行ってやろう」
「私……」
「安心しろ、送るだけだ」

 セフィロスの気持ちを逆撫でしないほうがいい。客観的に考えて、セフィロスの言う通りにするのが村を守る一番の方法だろう。後ろ髪を引かれる思いがしながらも、シャロンはセフィロスの腕の中に身を委ねた。
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