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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第5章 forbidden lovers


 セフィロスが生きていた。
シャロンが最後にセフィロスに会ってからひと月ほど経ったが、シャロンは未だ落ち着かない様子でいた。
 妙に胸騒ぎがする。
彼女はニブルの大火災がセフィロスの仕業ではないかと推測していた。そのため勅命が出て、死亡通告がされるに至ったのだと。しかし、彼は生きていた。
何かを調べているような、何かを探しているようなセフィロスの言動はシャロンに不安感を与える。

 もしかしたら、ここにいてはいけないかもしれない。世話になった村人に災いがあってはならないと、シャロンは荷造りを始めた。恩を返せないうちに旅立つのは胸が痛んだが、万が一の事があってはならない。悪夢の光景がシャロンの脳裏に焼きついていた。

「いくらなんでも無言で行くのは少し辛いわね……」
「シャロン」

村の出口で立ち往生するシャロンに声がかかる。

「……セフィロス」
「なんだ、村を出るのか?」
「いつまでも甘えてはいられないから」
「ならば丁度いい。私と共に来い」

シャロンの隣に立ち村を眺めながら同行の誘い。
セフィロスはまたそれを言いに来たのか。

「あなたとは……いけない」
「一人で何ができる?」
「私、ありがたいことにこの村でいくつか人脈ができたわ。最後まで甘えることになってしまうけれど……」
「ほう。それは残念だ。この村は今夜灰になる」

 セフィロスが掌に炎を纏わせ、コスモキャニオンの渓谷に放つ。
シャロンはそれと同時に水属性の魔法を放ちセフィロスの魔法を打ち消した。

「セフィロス! 何をするのよ!」
「居場所がなくなれば、私の元へ来るだろうと思ってな」
「そんな浅はかな考え、あなたらしくない」
「フ、敵わないな。……考えていたのだ。お前自身を奪うことよりも、お前が大切に思うものを奪うほうが、ずっとお前を苦しめられるだろうと」
「私を苦しめたいの?」
「ああ」

 シャロンはため息をついた。自分はこの人に何をしてあげられるのだろうか。恐ろしいビジョンを語るセフィロスは愉快そうに微笑んで、シャロンの肩を抱く。
妖しいまでの美しさに目を奪われそうになるが、シャロンは視線を外してやり過ごした。
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