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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第5章 forbidden lovers


 彼はシャロンの頭に手を置いてから、髪に指を絡め妖しく滑らせる。

「シャロン、お前は以前けじめが付けられないと言っていただろう。ヴィンセント・ヴァレンタイン……その男の眠る場所が解れば、お前は解放されるのか?」
「知りたくない」
「……心変わりか?」
「知りたくないの。彼を諦めたくない。真実を知るのはやっぱり怖い……」

セフィロスは呆れたようにため息をつく。そしてシャロンの肩を撫でつけた。

「またそれか。だが、お前がその男を諦められないように、私もお前を諦められない。お前を手に入れるためならばどんな手段も使うぞ」
「頑固なのね。でも、私はどんな事があっても彼だけを愛し続けるから」

 シャロンは反抗するように鋭い視線を向けた。
セフィロスはぞくりとした。歪んだ愛情がそこにはあった。

「重いな」
「重い……そうかもね。でも彼はそんな私を受け入れてくれたのよ」

ふ、と笑いセフィロスが立ち上がる。

「約束しよう。私は真実のみを持って来る」

 シャロンは切なく眉をひそめた。前を向くことへの不安。一度はセフィロスに前へと踏み出す勇気を与えられた。しかしいつまで経ってもヴィンセントの情報は手に入らない。わからないことがシャロンを更に不安にさせる。

「ひとつ、聞いてもいいか」

 セフィロスがふいに口を開いた。
彼の背中を瞳に映しながらシャロンは応える。

「なに?」
「お前はプロジェクトSに参加していたのか?」
「……少なくとも……、今の私はプロジェクトSに関する記憶を持ち合わせていないわ。参加していなかったという証明にはならないかもしれないけれど……」
「……わかった。お前も哀れな存在だ。……また来る。どうにも諦めがつかないのでな」
「セフィロス!」

咄嗟に呼び止めた声にセフィロスは横顔を向け笑むと、闇の中に姿を消した。
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