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FFVII いばらの涙 邂逅譚

第5章 forbidden lovers


 ふいに見つめ合う瞳が離れ、セフィロスが立ち上がると、衣服の乱れを正しズボンのポケットから紙片を取り出して地面へと放る。

 それはジェノバプロジェクトの資料と写真だった。
最初に神羅のタペストリーが目に入り、その前に写る人物を眺め、シャロンは我が目を疑った。

「え……これ、私……?」
「白々しいぞ、何を驚いている? 今まで私が知らなかったとでも思っていたのか?」
「どういうこと……これは」

 写真に写るのは宝条、ガスト、ルクレツィアといった面々。そしてその傍には、正面こそ向いていないが、白衣を着たシャロンの姿がはっきりと写っていた。

「お前は神羅の科学部門でガストの助手を務めていた研究員シャロン。主に心理学に精通したが、さほど研究熱心ではなく論文も残っていない。社員の相談役として在籍しているようなものだったそうだ。家族構成は不明、神羅へ入ったいきさつはお前の知る通りだ」

 セフィロスが別の資料をシャロンの足元に放る。
〈プロジェクトR〉という見出しのものだ。

「神羅という会社の科学部門ではしばしば科学者自身が被験者として実験に参加することがあるようだ。お前の場合、人体から知能や人格をネットワークにアップロードする実験と、記憶操作、肉体強化」


 シャロンはセフィロスの言葉の羅列についていけなかった。
何を言っているのか理解するのに時間を要する。
セフィロスも戸惑うシャロンに気付いていたが、話すことをやめなかった。

「そして都合の良い被験体となったお前は神羅から在籍データを抹消された。フ、お前の記憶など嘘偽りばかり。実験によって与えられた記憶、失った記憶……。今お前の持つ記憶も、どこまでが本当なのか疑わしいぞ」

 セフィロスはそう言うと口元を歪めて笑った。
シャロンはセフィロスの言葉に反論することが出来なかった。彼の言葉はシャロンの全てを否定するようなものだ。
無論シャロンはその言葉を鵜呑みにするほど馬鹿ではない。しかし、思うところが無い訳でもなく、複雑な思いが彼女を苛んだ。
セフィロスは身体を屈めて無表情な彼女の顔を覗き込む。

「また来る。お前に伝えるべき情報を見つけ次第な」
「……知りたくないこと、ばかり……」
「ではお前は永遠にそうして生きていくのか?」

シャロンは項垂れ黙り込む。
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