第1章 花寵腐月
「ちょ、ちょっと!修平!?」
「花見プレイってのもいいんじゃね?」
あたしが振り返って逃げようとしても、修平の胸板がそれを許さない。
「待ってよ!これじゃ見られちゃう!」
「あーそうだな。騒げば騒ぐほど、恥ずかしいところ見られちゃうな。」
背後から囁くように言葉攻めしてくる修平。そんなことを言われては反論の声も上げづらいじゃないか。
「・・・修平は見られてもいいの!?」
「嫌だね。真砂子は俺だけのもんだ。」
小声で反論した結果、きっぱりとした返答がなされ、あたしは恥ずかしいやら嬉しいやら、何も言えなくなってしまう。
「だから声は我慢するんだぞー?」
楽しそうにそれだけ言うと、ベッドから拾い上げたのは、先ほどまでの前戯でぐちゃぐちゃになったローター。
「ほら、窓に手をついて足広げて。」
あたしの眼前でローターのスイッチを入り切り。ブーンと震える甘美な音。
「桜を見ながら、挿れてくださいっておねだりしてみろよ。」
耳をひと舐め、背筋にキスが落ちた。
・・・相当に下衆な男だと思う。
AVの見過ぎとか、勘違い男とか、そんな言葉がぴったり来る。
ねぇ、修平はあたしの事を愛してくれてるの?
修平はあたしの体を愛しているの?
あたしは、あたし達は、もっと人間的で、文化的で、楽しくて、晴れやかな時間を過ごせないのかな?
あたしはもっと外に出て、2人でいろんな世界を共有したいよ。
「挿れて・・・ください・・・。」
それでも快楽を刻み込まれてしまったあたしの体は、修平の意向に絶対服従してしまう。
窓の向こうの桜が揺れた。