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花寵腐月

第1章 花寵腐月


「真砂子。」
ハッと顔を上げると、少し冷たい表情の修平。
「そんなにお花見したかったのか?」
あ、まずい。これはむしゃくしゃしてる時の、怒ってる時の顔だ。

・・・お仕置き、されちゃう。

冷や汗が出る・・・場面のはずなのに、なぜか別のぬるぬるが出るのを感じながら、あたしは願いを込めて小さくこくりと頷いた。
「・・・そうか。」
それだけ言うと修平は、手に持っていたカラフルな包みをポンッとベッドに放り投げた。
あれ?抱かないの?
もしかして、申し訳なく思って今からお花見に行こうとか・・・いやまさかそんな・・・。

「お花見しようなー。」
そう言ってあたしを立たせる修平。

嘘、本当に連れて行ってくれるの?
久しぶりの「世間一般的な普通のデート」に沸き立つ心。
もうお昼ご飯は食べちゃったし、お弁当は無理だけど、お団子なら食べられるかな?
近所のスーパーでお団子買ってきて、桜の下で食べて・・・花より団子なお花見もいいかもしれない。


「はい。お花見。」
修平はあたしの両肩を掴むと、そのまま窓の方に向かせた。

え?

「ほら、これで桜も見れるだろ?」
開かれるレースカーテン。降り注ぐ春の陽気。
良好になった視界の先には、咲き誇る桜の花と、道行く車に、楽しそうな親子。
「花より男児(だんご)、ってな。」
修平は裸のあたしを窓際に押し付けた。
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