第5章 恋愛論Ⅳ
「へえ、調子いいんだ。先輩と。」
新田くんが居なくなった教室で久世が私に聞く。
「気になるのですか、久世さん。」
ニヤニヤしながら久世に聞いた。
「まあ、明日の天気くらいには。」
あんまり気になってないな、それ。
「今日ね、会う約束してるんだ。」
「そ、」
「ちゃんと言ってくるよ、自分の気持ち。」
「ん、」
「・・・聞いてます?」
「まあ・・・、受け流すよね。」
「お願いだから、受け止めてよ。」
そう言うと、ふふっと柔らかく笑う久世。
せっかく久世から助言を受けたのに、もうその言葉は頭になく、新田くんの「綺麗になった」を間に受け、少しだけ自分に自信が持てた。新田くんは女子を元気にさせる天才だ。
その言葉を受けてからはとにかく、早く先輩に思いを伝えたくて、ウズウズした1日だった。