第4章 恋愛論Ⅲ
「今のが、久世くん?」
後ろから先輩の声がした。
「先輩、久世をご存じなんですか?」
「あ、いや、」と先輩の言葉が濁る。
「それより、また会うなんて驚いた。」
ハニカムように言う先輩のその言葉にまた体が熱くなる。
「…はい、私も、です。」
私、只今甘酸っぱい青春満喫中でございます。
「おい、久世くん、あれはなんぞや。」
「・・・日向さん、覗き見なんて下品だよ。」
「覗き見じゃないよな、日向!俺ら宮原の保護者だもんな!」
「諸星くんたまにはいい事言うのね。」
「やめろよ日向!照れるじゃん!☆ミ」
「それより久世くん、あの顔を赤らめる生物一体何。」
「日向さん、あれがかの有名な恋する宮原だよ。」
「うわあ、生で視るの初めて。えげつな。」
「日向さん、友達をえげつないでくくるのってどうなの。」
「だって久世くん、見てよ、あの顔。」
「まあ、残念だよね。」
「デレデレはんぱない。あーあ、鼻の下。」
「あれが宮原の好きな先輩なのかぁ?」
「あ、諸星いたんだ。」
「って久世ぇ~!ずっといたじゃん!目の前にいたじゃん!」
「・・・・・・。」
「なんか言えよー、久世ぇ!いつもの辛口な痺れるヤツくれよぉー!」
「・・・・・・。」
「あえてのスルーなんて、さすが久世くんね。」
「日向さん、いちいち言わなくて大丈夫。」
「久世!いいね、シカトっていいね!」
「ああ、そう?喜んでもらえて良かった。喜んだついでにこのままここから飛び降りてくれる?」
「あっは、久世ってばぁ、お・しゃ・れ!」
「黙れ変態キラクズ。」
「素敵、何かの悪役みたいな名前ね諸星くん。」