第3章 恋愛論Ⅱ
「宮原さんいつもゴミ捨て当番なの?」
「あ、いえ、違います」
「そうなんだ、僕が焼却炉担当の時は
いつも宮原さんな気がしたから」
橘先輩も、自分のことを僕と呼ぶ。久世と一緒。
「わざと、です」なんて言ってみたい。しかし、意気地なしの私にそんな大胆な発言が出来るわけもなく。
「ぐ、偶然て、すごいですよね」
なんてありきたりな言葉でかわすしかなかったのに。
「……偶然、か」
「え?」
「さっき言ったのは、…願望かも」
「……はい?」
「わざと宮原さんが計ったように
僕に会いに来てくれてたらなあ、
なんて…ね」
「……………、」
夏の焼却炉前は暑つすぎて、体が溶けてしまいそうだった。