第17章 episode Ⅳ 新田 光
中2にもなると、そんな環境に嫌気がさして、何もかもがどうでもよくなった。
" 反抗期 "という言葉を借りれば簡単で。家に帰らないのが当たり前になり、久しぶりに家に帰ると母親から口うるさく言われる、そんな日々。
いつものようにただなんとなく家に帰って冷蔵庫を開け、ペットボトルの水を取り出し口に入れる。
母親が俺に気づいてまたいつものソレが始まった。
「光、あんた何してんの」
「あ?なんもしてないわ」
「何もしてないから言ってるんでしょ!?」
はあ、また始まった、とため息をつく。
「生きてるだけいいんじゃない」
「あんた…洸が今、」
「洸、洸、洸、洸、うるさいなあ!
んなら、俺に構うなよ、ほっとけよ、
どいつもこいつも、うっとおしい!」
「…ちょっと、光!待ちなさい!」
洸の顔なんて、見たくもない。自分の顔さえも見たくない。こんな家…どれもこれも洸を思い出す。
なんだよ双子って。
なんで俺だけこんな思いしなくちゃいけないんだ。