• テキストサイズ

久世くんには恋愛論を

第3章 恋愛論Ⅱ








「はい、ここまで」と私にゴミ箱を渡す久世。そこは丁度、先輩のいる焼却炉からは見えない位置で。



「ありがとう、久世」

「いいえ、どういたしまして」



背の高い久世を、決して濃くはない上品な顔立ちを見上げて思った。この口さえなければなあ、なんて。



「久世ってさ、恋とかしないの?」

「宮原の唐突さって、
 もはや憧れに値するよね」

「そ、そんなとこ憧れないで下さい」

「じゃあ一体何の話」

「だから、恋愛の話」

「ああ、スタンダールの
『恋愛論』なら読んだことあるけど」

「…す、すた」

「スタンダール。
 17世紀のフランスの小説家」



そんな人、生まれてこのかた一度も聞いたことないんですが。



「久世さん、
 相変わらず人とは違う趣味をお持ちで…」

「人と違う?なにそれ、僕を褒めてんの?」

「…1回脳ミソ見せてもらってもいいですか?」

「いいよ、見せ合いっこする?
 僕も宮原の生ぬるい思考回路には
 興味がある」



この熱い季節に、汗1つかかず涼しい顔がよく似合う。


そんな久世は難しい本が大好きです。







/ 211ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp