第14章 episodeⅢ 小出政親
「チカぁ!聞いた?海内先生、学校辞めるらしいぜ?」
先生との関係が終わって半年後、トキヤが悲しそうに言う。
「…へえ、そうなん。」
「もうやだあ、俺英語の成績下がるー。」
「トキヤ、それ下がらないから大丈夫だよ。」
「…シュンくん、俺は気持ち的なことを言ってるのであって、数字的なことを言ってるわけではないのだよ!」
「チカなんか知ってんの?」
三笠が俺を見る。
「…や、なんで俺。知らねえよ。」
そう言うと、俺に聞いて!と言うようにトキヤが勢いよく出てくる。
「結婚だって、結婚!羨ましいな!」
『…ちか…っ、いや』
あの時のいや、は何の嫌だったんだろう。
何も聞けないまま先生はこの学校を辞めた。