第14章 episodeⅢ 小出政親
やべ、やってしまった。
「あ、ごめん、悪気はない。」
「もっと悪いわ。」
確かに。
勢いの無くなったゆなちゃんが元気無さそうに話した。
「ゆな、めんどうかな。」
「うんたぶんね。」
「まあくん、学ばないな。」
「あ、ごめん。嘘は良くないと思って。」
あはは、とゆなちゃんが笑う。
「…だからかもね。」
マックのポテトを指でピンと弾くゆなちゃん。
「だからまあくんに引き寄せられたのかも。…なんか、助けてくれるような、そんな気がしたんだ。」
「…俺、神様じゃないけど。」
「ははっ、いや神だよ、神。格好いいし、オーラあったから神様かと思ったもん。」
「あら、嬉しい。」
「…ゆな、彼氏の前ではこんな風に出来ないんだ。」
「ふうん、もったいない。」
「え、」
「俺、ゆなちゃん好きよ?あ、勘違いするな、好きってそういう意味じゃなくて、神様的な好きよ。」
「神様って自分で認めるの?」
「え?違うの?」
「…ふふ、ううん、違うくない。」
「神様、話ならいつでも聞いてあげますよ。」
「……ゆな、まあくんと付き合いた「やだ、」
女の人は話を聞いて欲しい生き物なんだ、とゆなちゃんが言った。それは大人の女性も一緒なんだろうかと、先生を思い出す。
先生は俺に「神様」を求めているのだろうか。
俺は先生の「神様」になれているだろうか。