第14章 episodeⅢ 小出政親
「サボり?」
「サボり、です。」
「悪い子」と優しく笑う先生。海内 渉(うみうち わたる)、うちの英語教師、28歳。
「て、止めなさいよ、せんせい。」
「止める?なぜかしら。」
「なぜ?おかしなこと聞くなあ。授業は受けなきゃいけないでしょうが。」
「まあ、そうね。」
「授業に戻りなさい、とか言うよ、浅井は。」
また優美に笑った先生が
「浅井先生は忘れちゃったのよ。
こういう、一人で何かを考える時間が必要だってこと。」
そう言って遠くを見つめるような横顔は、やっぱり大人の女性だった。
「ちか、」
「ちょっと、学校でその呼び方はまずいんじゃ」
俺がそう言うと先生の口元だけ上げる、あの笑い方。
「あなたの方が向いてるんじゃない?教師。」
こんな適当な教師いたら、未来の子供たちは崩壊しますわ。