第14章 episodeⅢ 小出政親
「先生さ、先生っぽくないよね。」
「何度も肌を重ねたからじゃない?」
「おい、返しが大人過ぎて驚いたわ。」
「ふふ、ちか、まだ私には勝てないわよ。」
先生には付き合っている人がいる。どんな人かは知らないけど、さっきの電話もその男だ。
なのに、俺に手を出した「悪い先生」。
好きとか、嫌いとかじゃなくて、ただの、単なる公務員の憂さ晴らしだと先生は言った。
それでいい。それがいい。俺もそういう関係が楽だから。高2の多感なお年頃にはまさに棚からぼたもちの、普通なら手の届かない、いい女。
俺はポケットから無意識にタバコはを取り出していた。くしゃくしゃになったケースから一本出した時、シュンの顔を思い出した。
『 チカ、タバコは 』
「…あ、そうでした。」