第13章 恋愛論XI
「…ってぇな、宮原の分際で僕の腕を引っ張るとはいい度胸。」
みんなから離れてだいぶ歩いてきた。先輩がドスの効いた声色でこちらを睨み付け、腕を大きく動かすと、私の腕ははね除けられる。
「す、すみませんすみませんすみません!」
「で、話ってなんだよ。」
「…あ、えっと、」
話なんてない。宮原?と呼び掛けられて、先輩の素がばれないようにサポートしただけだ。なんなら感謝されるべきじゃないのか。
そんな私に先輩はいつもの暴言を吐く。
「ないなら帰れよ。」
「って!先輩が私の名前を呼んだんでしょ!」
大体、水着女子高生に帰れよって!このまま帰ったら襲われるわ!(と言ってしまえば、更なる暴言が返ってくることを知っているから言えません。)
「あ?そうだっけ?」とトボける先輩。何でも覚えてるくせに、根に持つ性格のくせに、こういう時だけずるい。
「そうですよ!」
口にはしないけど、うぜえな、という表情で私を見る。なんなんですか、あなた。