第13章 恋愛論XI
「宮原、さん?」
呼ばれた先を見るとそこには眩しいくらいに輝く、橘先輩の姿。
「…せ、先輩!?なぜここに!?」
「うん、妹が海に行きたいって言うから。(なんでお前がいんだよ、邪魔だな。)」
その柔かな笑顔と言葉は、表の顔、生徒会長の橘先輩。もちろん私には言葉の後ろ、かぎかっこの部分もちゃんと伝わっております。
「小出先生、こんにちは。」と挨拶をする先輩。さすが、ぬかりない。
「はい、こんにちは。橘、お前がいると急に海外に来た気分になるな。」
「はい?」
先生、その気持ち、わかる気がします。
「橘先輩、妹さんにも優しいんですね。」
とあの京ちゃんがニッコリ微笑んだ。
「君は確か、」
「杏がいつもお世話になってます。友達の日向です。」
「あ、君が日向さん。宮原さんから話はいつも聞いてるよ。(宮原にもまともな友達がいるんだな)」
「せ、先輩!」
「なに?」
「お、お話が…!」
これ以上一緒にいたら、先輩の黒い部分がバレてしまいそうで恐ろしくなって、腕をグイグイ引っ張って少し離れた場所へと移動した。
「あら、行っちゃった。」
「日向、橘と宮原って仲いいの?」
「まあ…仲いいというか、杏は橘先輩のことが好きだったので。」
「は?まじ?超青春だね。羨ましいね。」
「フラてれますが。ね、久世くん。」
「なんで僕に話を振るの日向さん。」
「やだー、俺も混ぜろよその青春。」
「チカはもう無理だろ!☆春が青くねえもん!」
「諸星、お前なんて数学の評価1にしてやるからな。」
「職権濫用!」