第13章 恋愛論XI
そんな先輩が急に何かを思い出したように、目を開く。
「すずが新田の姿を見たって言うからまさかと思って。」
「え、すずちゃん新田くんを見てしまったんですか…?」
「…何、なんかまずかったのかよ。」
新田くんといえばお姉さま達と、何処かへ行ったっきり。好きな人が他の女の人達と仲良さげにしてる姿なんて見たら、悲しい思いをしたに決まってる。
「あ、いや、すずちゃん大丈夫ですか?」
「は?大丈夫じゃねぇよ。大喜びで置いていかれた。」
「置いていかれた?」
「お前のせいで、今すず、新田と一緒にいるんだよ。このポンコツ。」
「う、えぇえええ!?なぜ!?水着美女は!?」
「は?水着美女?」
「…あ、いえ、なんでもないです。…それより、どういうことですか。」
「どうもこうも、こっちが聞きてぇんだよ、はげ。」
「…禿げてないもん。」
「あーあーあーあー、夏の勢いで上手くいくとかまじありえない。馬鹿じゃないの。くそ、こうなったらお前で解消するしかない。」
「ちょっと、解消って怖いこと言わないで下さい。先生に言いつけますよ。」
「あ?新田連れて来たの誰だよ。お前だろうが。」
「…私じゃないもん。」
「とりあえず手始めに地元のヤンキーに絡んでこい。」
「ちょいちょいシカトするの、やめてもらっていいですか。」