第13章 恋愛論XI
「久世は?」
「僕も居て欲しいの?」
その質問に言葉を詰まらせる。
なんだろう、今日1日、ずっと感じるこのモヤモヤ感。皆といて、はしゃいで、楽しいはずなのに、…何かが足りない。
「………久世もいてくれたら、」
皆の中に久世がいない。それがモヤモヤの理由。
「…そしたら楽しいのにって、思う。」
なんだか照れ臭くって、うつむいた視線を一度久世に向けた。満足そうな笑みを浮かべる彼に、悔しくもドキッとする自分がいて。
「へえ、いいね、それ。」
「…なにがよ。」
「いいや、何でも。すぐ戻ってくるから、僕と篠崎さんのジュースもよろしくね、宮原。」
「パシリですか。」
優しい微笑みを残して背を向けた久世に、天使の羽が見えたなんて言わないでおこう。