第13章 恋愛論XI
「く、久世こそなんで。」
「みゃあが見えたから。」
「え、」
「変な顔して上とか下とか向くし、ペットボトル落としても拾わないでボーッとしてるから、とうとうイッちゃったのかと思って。」
「そ、そうですか。」
「心配してやったんだけれども。」
「あ、ああ、どうもありがとう、ございます…。」
「暑いの?顔赤い。」
「…あ、暑いよ!暑くて死にそうだよ!」
「……、てい。」
そう言って久世が冷たいペットボトルを私の肌につける。
「ひぃあ!つ、冷たい…!」
「どっちよ。」
「いじわる!!」
「そんな格好してるから。」
そんな格好と言われ、自分の姿を上から下まで視線で追ってみても、言われた理由が見つからない。た、確かに私にしては、少し可愛すぎる白の生地に青い花柄のビキニ。だけど…海なんだから、水着でしょ、普通。
「…おかしい、ですか。」
「……。」
はあ、とため息をつく久世が突然パーカーを脱いで私の肩にかける。
「おかしくないよ。だから、」
「はい?」
「うるさいなあ、羽織ってなよ。」
「いや、久世さん…暑い、です。」
「羽織ってろ。」
「いや、結構で」
「羽織って下さい。」
「なぜ、下から。」
私のツッコミにふふ、っと笑う久世が
「ほら、ジュースがぬるくなるから皆のところ、戻りなさい。」と私にファンタを渡す。