第12章 episodeⅡ日向 京子
「…大空弥生、」
「…え?」
彼女の顔を見て思った。
「爽やかな青が似合う、空のように優しい人。」
小さな彼女の顔がみるみるうちに真っ赤になる。
「…え!?」
「あ、ごめん、独り言。」
「ええ!?」
「優しいのね、弥生さん。」
弥生さんが少し泣きそうな顔をした。
「…名前、覚えてくれたんだ。」
「あ、うん。ごめんなさい、遅くなりました。」
「…ふふ、嬉しい。」
「弥生さん、」
「は、はい!」
「笑った顔、可愛い。」
「……、」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫です!」
先生、友達が一人、出来ました。
「日向さん、」
「なあに。」
「日向さんって天然ですか?」
「いえ、頭は賢い方ですが。」
「あ、いや違うくて…」
「なに。」
「その、よくそんな恥ずかしいこと、平気で言えるなって…。」
「……。」
「…は、恥ずかしくない?」
「…え、何が?」
「……、うんん、何でもない。」