第20章 それぞれの信じる道
「あの…何かあったんですか?」
「あら、気になりますこと?」
「…そりゃ…。」
「ふふっ、教えなーい。」
う…ウィンクしてきやがった…。
「直に分かることですわ。ねぇ、斎藤君、藤堂君。」
「…え?」
ふと、伊東さんの後ろを見ると一君と平助の姿が。
平助は、バツが悪そうに中庭へと視線を外したけど一君は、俺を一瞥した後、
「…伊東さん、そろそろ行きましょう。」
「あら、そうね。では山中君、ごきげんよう。」
すれ違いざま、一君も平助もこっちを見ようとしなかった。
え…何事…?
「おはようございますー…。」
俺が広間へと挨拶しながら入ると、源さんと島田さんが気付き、
「おはよう、山中君。怪我は平気かい?」
「あ…はい、お陰様で。」
「それは何よりです。」
「そーいえば、さっき伊東さんに会ったんですけど…何かあったんですか?」
すると、二人が困ったような顔をして、こう言った。
「それが…
伊東さん達が離隊するそうなんです。」
「え…?」
「御陵衛士という組織を作るそうだよ。新選組からも何人か…それと幹部から斎藤君と藤堂君が伊東さんに付いていくそうだよ。」
「一君と、平助が…?」
それで態度おかしかったのか…。
「…俺、二人に話聞いてくる!」
広間を出て、一君と平助の所へと向かった。