第20章 それぞれの信じる道
「…昨日…あれからどうなったんだろーか…。」
はぁ…起きたくねぇな…。昨日の俺の態度最悪だったし。
すっかり治ってしまった傷痕に再び包帯を巻いていると、
トントントン…
「ん…?」
誰かがこちらへ向かって来る。
この独特の歩き方は…。
ガラッ
「潤ちゃん、いつまで寝てんのさ。
早く起きないと斬っちゃうよ?」
「…総司君…。お、おはよう。」
「起きてるじゃない。うん、おはよう。あ、怪我大丈夫だった?」
「あ…うん。見た目ほど大した傷じゃ…無かったから…。」
ふっと総司君から目線を外し、肩に触れる。もう治ってるなんて言えねぇよなぁ…。
「…まぁ、とにかく起きてきなよ。」
それだけ言うと総司君襖を閉め、広間へと向かう。
「…行かなきゃな。」
俺は、布団を片付けると広間へと急いだ。
「…伊東さん?」
「あら、おはようございます。山中君、怪我は大丈夫でしたの?」
「あ…はい。まぁ…。」
起き抜けでなんでまたこの人に会うかね俺…。
「ふふっ、それは良かったですわ!」
…なんだ?昨夜の事があった後なのに…なんでこんな上機嫌なんだこの人…。